ラノベ作家のメモと戯言

ラノベ作家の相崎壁際です。第13回GA文庫大賞で「ガンガンGA特別賞」を受賞。デビュー作『どうか俺を放っておいてくれ なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる』は2巻まで発売中&コミカライズも連載中です。

「クリスマスに予定がないならラノベを読もう!」……という体で好きな1~2巻の学園青春ラノベを紹介する

やります。

この季節になると「クリスマスなのに今年も予定がない!駅前のイルミネーションを見ると心がざわつく!誰か助けて!」となってしまう皆さん、ご機嫌いかがでしょうか。良いわけないですね。わはは。

経験則になりますがこういう時は誰も助けてくれません。なぜなら、助けてくれそうな心根がいい奴は既に予定が入っているので……。

 

自分にもクリスマスが近づくと四条河原町でええじゃないか騒動でも起こしたくなる時期がありましたが、最近はイルミネーションを見たら「うわ綺麗じゃ~ん」と写真を撮るくらいの余裕が出てきました。

これは別に人間関係が充実してきたというわけではなく、単にいちいち気にするのが面倒になっただけです。

良く言えば成熟、直截に言えば老化。

 

話が脱線したというかそもそも線路に乗ってませんでしたが、こっから本題に入ります。

今回はクリスマスに予定がない皆さんに向けて(?)、自分が好きな学園青春ラノベ(1~2巻までのやつ)を紹介しようというブログです。

 

人間相手なら予定のすり合わせが面倒とかそもそも予定を聞くのがハードル高いとか断られたら心折れるから何も動かないのが結果的に最善とか色々ありますが、なんとライトノベルなら予定をすり合わせる必要もありません。

しかも電子書籍や通販なら外に出ることすらなく買えるし、1~2巻程度なら貧乏大学生の鍋パと同じくらいの価格です。最高~~!!

 

……という体でやっていきます。

ぶっちゃけると、最近Twitterでオススメのラノベを募集してたフォロワーさんに好きなラノベを投げつけたら楽しかったので、ブログでも同じことやろうと考えただけです

念のため、自分はそこまでラノベ読んでない(Twitterを見てると怖いくらいのペースで読んでる人が多くてビビります)という点と、ここで紹介する基準は「誰かにオススメできる」じゃなくて「自分が好き」に置いてる点、紹介しきれないだけで他にも好きな作品はたくさんあるよって点はご了承ください。

 

……あとオチが見えてるって点にも目をつぶってください。いいんだよブログなんだから。

 

目次

※書影はいずれも版元ドットコムさんから。

 

『友達いらない同盟』

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続刊の『暇人同盟』と合わせて既刊2巻。

独特の価値観故にクラスで孤立しているが気にしていない主人公の新藤に、同じくクラスに友達がいない澄田さんが「同盟」を持ちかけて……という話。

 

インターネットラノベ読み(?)の評価がやたら高いことで有名な園生凪先生の作品です。実際面白い。

文章のテンポ感や笑える掛け合いのおかげでサクサク読ませるんだけど、それでいて重いこと書いてるのがすげ~好みなんですよね……。

 

実は講談社ラノベ文庫の公式ブログでダイジェスト版コミカライズ?的な企画をやってたので、2/3くらいまでのネタバレ踏んでも良いよって人は見てみるといいかもしれない。この最後のページが良い。

blog.kodanshaln.jp

以下ちょっと内容込みの感想(そんながっつりネタバレはしないけど……)。小字&薄い色で書くので見たくない方は飛ばしてください。

 

澄田さんの「基準」の話がめっちゃ実感あって良いんですよね。傍から見れば「え?そんなこと?」と思われそうだけど本人にとっては切実なことで。

本人も最初はそこまで基準に縋るつもりは無かったかもしれないけど、基準がなまじ機能してしまったがために重力を増して逃れられなくなって、基準を越えたら死ぬしかなくなる。基準がこれまでの人生、人格と癒着してどうにもならんくなってしまう、みたいな。(死を懸けたものでなくても、これと相似の話は其処ここにあると思う)

クライマックスは澄田さんの基準、というか死に引き寄せる人生の重力と、新藤が澄田さんに働きかけられる重力の綱引き的なイメージで読んでた。緊迫感あって良かった。

 

 

……飛ばし終わったでしょうか。

要するにかなり好きな作品です。

 

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『虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん』

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既刊2巻。

ひょんなことからあらゆる面で突出した性能(スペック)を持つ赤三月さんの自殺を阻止した主人公の九木野瀬が、「何でも出来て退屈で」死のうとしたと話す赤三月さんとあれやこれやで「人生の攻略本作り」を始める……的な話。

 

実際に攻略本制作も進めるんだけど、そこらへんは結構ギャグ調かも。人間関係の諸々が本筋というかそっちに注目して読んでた。赤三月さんの危険な方向にぶっ飛んだ感じと黒花ちゃんの性格が良いね。

掛け合いが面白いし全体的に笑いながら読めるのに、本筋がやたら暗いのがすげ~~好み。2巻の締め方も最高に好きです。

 

以下ちょっと内容込みの感想(そんながっつりネタバレはしないけど……)。小字&薄い色で書くので見たくない方は飛ばしてください。

 

ていうか1巻のヒロイン2人との出会いがどっちも「自殺しかけてる場面に出くわして阻止する」なの暗すぎだろ!好き!

あと、ミステリアスな部分があるヒロインって、その裏にある人間味が明らかになる場面が魅力になることが多いじゃないですか。

この作品にもそれがあるんだけど、「退屈だったから死のうと思った」と語る赤三月さんの人間味を「死のうとした理由は、やっぱりあったか」って形で見せてくるの天才!!最高!!ありがとう!!

しかも赤三月さんが死のうとした本当の理由は結局わからず、2巻のラストでもミステリアスな魅力が保たれているのも素晴らしい。

 

 

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『裏方キャラの青木くんがラブコメを制すまで。』

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既刊1巻。

作家の卵で担当編集さんに「ほれ、恋愛しろ、童貞」と言われている主人公の青木くんが、演劇部の「ヒロイン」である綾瀬さんに「私に、恋を教えてほしいのです!」と言われてあれやこれやする話。

 

地の文から掛け合いまで笑わせてくれるし、綾瀬さんは可愛いし、ナツメグには幸せになって欲しいし、青木くんは頑張れよって感じだし、稲村が友達にいたら楽しそうだなってなるし、最高に好きな作品です。

 

ここぞって所ですげ~~青春感で突っ走ってくれるので(235ページからの鴨川のシーンが素晴らしすぎる)、うさぎや先生の最新作『キミの青春、私のキスはいらないの?』が好きな人も是非!!もちろん青キスもオススメです。

うさぎや先生の作品はこう、弱い人に寄り添ってくれる優しい視点がいいんですよね……。

 

実は自分が青春ラブコメに振り切って書くようになったのも、青木くんを読んで「ラノベのラブコメってすごいじゃん!」と思ったからだったりする。

そういう面でも思い入れの強い作品です。

 

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『ネクラとヒリアが出会う時』

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既刊1巻。

イケメンだけど引っ込み思案な主人公の佐倉くんと、超美人だけど環境の変化でうまく周囲に馴染めないヒロインの西園寺さんが、お互い顔を見せないまま「ネクラ(佐倉くん)」と「ヒリア(西園寺さん)」としておしゃべりして仲を深めていく……って話。

 

あんまりこういう系は自分の好みじゃないと勝手に思ってたんだけど、読んでみたらめちゃくちゃ良かったです。素晴らしい。

全体に漂うユーモアがラノベとか抜きにすげ~好みだし、ヒロインの西園寺さんはもちろん主人公の佐倉くんも可愛い!萌え(死語)!!!

作者の村田天先生が最近出した『クールな月城さんは俺にだけデレ可愛い』も早く読みたいね……。

 

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『中古(?)の水守さんと付き合ってみたら、やけに俺に構ってくる』

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既刊2巻。

恋愛に対して斜に構えている主人公の十神くんが、探し物をしていた女の子に声をかけたところ、その子はビッチとして学校で嫌われている水守さんだった(友達がいない十神くんは水守さんのことを知らなかった)。探し物に協力したことで水守さんと話すようになった十神くんは、水守さんから告白されて……みたいな話。

 

これも何気なしに読んでみたらめちゃくちゃ好きになった系です。

ぶっちゃけ今でも具体的にどこら辺が琴線に触れたのかわからないんですけど、とにかく好きなラノベ。そういうのあるよね。

 

あえて挙げれば、ちょいちょい笑えるシーンを挟んでくれるところ(笑いどころは作者のサービス精神がわかりやすい部分のため個人的に加点が大きい)、主人公がぼっち、主人公の性格が良い、1巻ラストの青春感が大好き、水守さんが可愛い、後輩の涼音ちゃんも可愛い……めちゃくちゃ好きじゃん。

なんやかんや総合的に自分のツボだったんだろうな……特典欲しさに紙書籍持ってるのに電子まで買ったラノベってこれくらいかもしれない。

 

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『星降る夜になったら』

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既刊1巻。

日々をそれとなく省エネに過ごしてきた主人公の花菱は、卒業間近な時期の補習を通じて、美術部に所属する後輩の渡良瀬さんと知り合う。こだわり派な渡良瀬さんと万事が適当だった花菱は次第に仲を深めていくが……って話。

 

読んだ人からは「厳密に言えば後半とか学園青春ラノベとは違うんじゃない?」という疑問が上がるかもしれませんが、これはいいんです。最後らへんで普通に泣いたので。はい、自分の負けです。

いや~~好きな作品だしレギュレーションに抵触しかけてても入れざるを得なかった。

この作品を読んでから『星降る夜になったら』『セントレイ』『スターフィッシュ』を聴くようになったくらい好き。(すぐラノベの影響受けるなコイツ……)

 

以下ちょっと小字&薄字

自分だったらこの結末は書けないな……って思うんだけど、それでも書き切るところの覚悟が良いよね。

350ページにこれでもかと詰め込んだ文章と全体の構成を見るに、当初は上下巻の構想だったのかなって思った。

 

 

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『門番少女と雨宿りの日常』

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既刊1巻。

家にも教室にも居場所のない元不良の主人公・碧木が、屋上に続く階段の踊り場で1学年上の雨森さんと出会い、ぼっち同士であれこれとやっていくうちに仲が深まったりこじれたり……みたいな話。

 

もう何回も言ってるんだけど、暗めの話を軽妙な掛け合いや笑わせる地の文で読ませるラノベが好きで、そしてこの作品はそれをやってくれてるんです。最高!

最初からテンションが維持できてるのマジですごいな……というかカバーの作者紹介から面白いのヤバすぎ。

 

以下、ちょっと小字&薄字。

実は受賞前にカクヨムで公開されてたバージョンも読んだことある(こんな面白いもの書く人がまだデビューしてないのかよ……っておののいて自信なくした)んですが、鳩田ちゃんのキャラデザが当時想像してたまんまで笑った。雨森さんと草野さんはかなり印象変わってた。

 

 

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今回のオチ

……というわけで今回のオチ。

『どうか俺を放っておいてくれ』です!

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既刊2巻。

高校三年間をぼっちで過ごした主人公の七村が、トラックに轢かれかけた同級生の花見辻さんを助けたところ、入学式当日にタイムリープしてしまう。今回もぼっちで良いと開き直る七村だったが、一緒にタイムリープしてきた花見辻さんはそれを良しとせず、あれこれとお節介を焼いてきて……という話。

 

これも非常に面白いし好きな作品です!!まあ自分が書いてるから当然ですけどね!!

作者が自分で面白いとか好きとか言うのどうなんって疑問はもっともですけど、読者として読んでても好きな作品になってただろうからセーフです。

好きだな~とか面白いな~とか思ってないと12~13万文字も書けないですよ、少なくとも自分は……。

 

内容的には青春ラブコメの青春やコメディ要素強めな感じかな、と作者は思っています。最近の作品と比較するとラブ要素はかなり薄いかも?作者が好きなラノベの青春ラブコメがそういう系統なので、自分の作品もそっちに寄せてます。

自分の作品で「こういうのが好きなんです!!」と叫んでると思うと若干恥ずかしいけど、好きなんだから仕方ない。

 

もう2巻の発売から1か月経ちましたが、まだちょいちょい新しく手に取ってくださってる方がいるみたいで恐悦至極。

頑張って書いたし読んでくださった方からの評判も良さげだし(最近はわざわざネガティブなこと発信する人が少ないってのもあるけど)、これからも新しい方が何かの拍子に興味を持ってくださると嬉しいですね。

 

なんと今ならKinde UnlimitedとBookwalkerの読み放題でも読めちゃいます!すごい!(いつまで追加されてるのか作者も把握してないので、気になる人は早めにどうぞ。紙書籍も1巻はまだ置いてるところあると思います)

Bookwalkerのサイトから1巻の試し読み(文庫換算で100ページちょい)もできるので、そちらも是非どうぞ!

 

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というわけで皆さん、クリスマスはライトノベルを読んでみてはいかがでしょうか。読み切れなかったら年末年始のお休みに持ち越せますし。

それでは、よいクリスマスを……(Nice boat.