ラノベ作家のメモと戯言

ラノベ作家の相崎壁際です。第13回GA文庫大賞で「ガンガンGA特別賞」を受賞。デビュー作『どうか俺を放っておいてくれ なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる』は2巻まで発売中&コミカライズも連載中です。

第27回電撃小説大賞、一次通過しました

通過しました

マジでよかった~~。

最初に通過作一覧をざっと流し見したときに見つけられなくて絶望しましたが、よく見たら右列中央らへんにこっそりありました。

ありがとう電撃小説大賞、フォーエバ電撃小説大賞。君を忘れない……!

 

いやー。電撃で2次に進むのが第24回以来(3年ぶり)なので、今回の通過は素直にめちゃくちゃ嬉しいです。

去年よりもいい方向に行ってるという手ごたえは感じつつ、結局どうなってるのかは公募の結果を見るまでわからないので……。

 

通過作がこれ。普段はラブコメ系のラノベを主に書いていますが、電撃にはタイトルから漂う雰囲気の通りライト文芸系の作品を応募しています。

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個人的にはライト文芸っぽくて好きなタイトルになりました(ラノベに多い長文説明調タイトルもそれはそれで好きです)。

地味に「君」を「きみ」にするか、「となり」を「隣」にするかでだいぶ悩んだ記憶があります。あと途中で「、」を入れるかどうかも気にしたなー。

 

電撃はライト文芸系(MW系)狙いの作品が多いイメージで、「君の~」みたいなタイトルはやっぱりちらほらありますね。

ライト文芸ってボーイミーツガールが多いし、どうしてもそういうタイトルが増えるのは仕方がないのです(たぶん)。

 

まあ身も蓋もない話をしちゃうと公募の受賞作って大半は刊行時にタイトル変わるから、応募時に気にしても仕方ないっちゅー話もある。

特にラノベ系の新人賞はかなりの割合でタイトル変わってる気がします。

 

通過作の割合

第27回電撃小説大賞は応募総数が4355作(長編3183作・短編1172作)、そのうち一次通過作は436作(長編373作・短編63作)だそうです。

dengekitaisho.jp

割合で言えば436/4355で、全応募作の10%くらいが一次通過したって感じですね。長編に限ると373/3183で11.7%。

電撃以外にもガガガは一次選考でこれくらい絞ってきますが、GA文庫やMF文庫の新人賞は3割くらいが一次通過するイメージ。ファンタジアも25%くらいでしょうか。

 

暇だったので(嘘。本当はファンタジア大賞に応募する作品を書かないといけないが、暑いとか中日ドラゴンズが負けすぎて気が乗らないとか今日はもうビール飲んじゃったとか理由を付けて全力で目を逸らし続けているだけ。こんなことをやっている場合ではない)過去5年間の電撃大賞の応募総数と一次通過の割合をまとめてみました。

 

第26回:応募総数が4607作、一次通過が467作。通過率が10.1%。

第25回:応募総数が4843作、一次通過が510作。通過率が10.5%。

第24回:応募総数が5088作、一次通過が575作。通過率が11.3%。

第23回:応募総数が4878作、一次通過が661作。通過率が13.5%。

第22回:応募総数が4580作、一次通過が592作。通過率が12.9%。

 

……なんか、だんだん一次通過のハードル上がってる気がしないこともないですね。怖い。

とはいえおおよそ10%強くらいのラインだしここまで厳しいならもはや微差って感じですが。

 

本当は長編の通過率とかも出した方が誠実なんでしょうが、めんどくさいのでやってません。

というか選考結果のページに応募総数中の長編・短編の内訳が載ってなかったんですよね。一次選考に残ったうちの長編・短編の作品数はほぼ記載されてるんですけど。

 

ラノベニュースオンラインとか外部のアーカイブサイトとか見ればわかるのかもしれないんですがダルい。

仕事じゃないから適当でいいんです適当で。

 

そういえば皆さんは8日から夏休みですか?ひょっとして9連休とか満喫しちゃってるんでしょうか。いいですね~~。

こちらは山の日含めた3連休を終えたら11日から普通に仕事です。ここ数年お盆休みとか無いんだが?誰か助けてください(こんな締め方でいいのか?)。

 

それではまた。

 

最近(4/10の電撃締め切り後)読んだラノベの感想とかなんやかんや②

感想の続き

前回はから。

 

弱キャラ友崎くん LV.8.5」

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おいおい、あの8巻のヒキからの短編集ですか。まあいきなり続きをぶっこまれるのもしんどいから口直しに短編集もいいよねと思いつつ読んだのだが開幕即菊池さんの話(「ファースト・クリスマス」)で轟沈。おい!

 

自分はみみみが好きなのでお気に入りはやっぱりみみみ視点の「好きな人のカノジョ」なわけですが、ジャブ打って相手の反応をうかがうみたいな会話が好きですね。

あと最後らへんでたまちゃんがみみみに向けた言葉、良さに溢れすぎてるでしょ。

日南と友崎(nanashi)のファーストコンタクト(友崎の方は自覚してないだろうが)に当たる「名もなき花」もあって、物語中でだんだん日南のバックボーンに焦点が当たりつつあるのもいい。

 

今回、打ち上げだのカラオケだの的確に過去の忘れたい思い出に触れてくる短編集だったので、読んでてなかなか精神が削れた。

そして最後にまーた菊池さんの話が来たので心が辛い、この後に8巻の続きが来るわけか……人道に対する罪ですよこれは。

 

 

 

「夢見る男子は現実主義者」

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こういうシチュエーションもあるか~って個人的にやられた感が強かったラブコメ。無自覚に種ばら撒いてる主人公の罪深さよ……。

ユーモアな一人称とかひねくれたセリフでバリバリ茶化してくるのが好きなので良かった(「マジかよ俺レベル足りないんだけど」は今作でもかなりツボ)。

主人公とお姉ちゃんの関係性も好き。こういう血縁関係いいよね。

 

全体的にだいぶ砕けた口調な上にモノローグが勝ち気味なので、最初読んだときは結構面食らった記憶。

シーンが変わった後にいきなりモノローグが入って上手いこと状況がつかめない、ってパターンがたびたびあったので……(自分がバカなだけという可能性も高い)。

 

最初はシーンの背景絵やキャラがビジュアルでわかるノベルゲー・美少女ゲーの影響だろうかと思ったんだけど、あとがきを読むにおけまる先生はネット小説文化出身の方らしいのでそちらの影響かも。

連載1話の区切りをコンパクトにまとめる傾向があるネット小説だと、シーンの状況説明とか情景描写があまり重視されないのかも(そんなことよりストーリーをやれって感じか)なーと思った。

 

まあ読んでるうちにそこそこ慣れたので無問題。2巻も出るらしいので楽しみ。

 

 

「きのうの春で、君を待つ」

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ストーリーも当然ながら面白いけどまず文章がすごく上手い。こういう情景描写ができたら文章書くのも楽しいんじゃないだろうか……。

1日進んで2日戻る、という時間的な設定が面白く生かされてて、毎回微妙なシーンから始まっちゃうのには笑った。

時間を遡るにつれて前のシーン(時間的には未来)で見せた登場人物の反応やら行動の意図が判明していくのが面白い。

 

そして前作の「夏へのトンネル、さよならの出口」は最高に刺激的でキュートな転校生で、今回は最高に切ない別れから二年ぶりに再会した幼馴染、八目先生の作品はヒロイン力が強いですね。

ヒロインの保科あかりに関するシーンは書くのが非常にしんどかったらしいけど、読んでるこちらも非常にしんどかったよね……いや、その分だけ好きになるんだけどさ。

このラノベヒロインに幸せになってほしい!2020(宝〇社)」1位が保科あかりです。2位は「サンタクロースを殺した。そして、キスをした。」の少女。この作品も良かったな。

 

 

「中古(?)の水守さんと付き合ってみたら、やけに俺に構ってくる」

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真打ち。もはやこの作品の感想を書きたいがためにここまで書いたと言っても過言ではないかもしれん。いや流石にちょっと過言です前出の作品だってどれも面白いし好きだし人にも読んで欲しい。

でも真打ちとか書いちゃうくらいには、この作品が大好きです。読んだ順が最後なのは偶然。

 

最初はまあ自分もラブコメを書いて新人賞に応募しているわけだし、近ごろ刊行されてるラブコメ作品でも読みましょうかねみたいなノリで読み始めたんですよ。吉田ばな先生のイラストも良いし。

そしたら主人公の卑屈さをユーモアで茶化すような一人称は好みだわ水守さんは可愛いわ主人公もなんやかんやカッコいいわで大当たりでした。

 

二章の空き部室周りの問題を収めるやり方も好きだし、デートシーンも好き(委員長いい人だ……)。観覧車のシーンとか最高じゃん。

里久君が初めて付き合ったのが水守さんでよかったよ……(誰目線の感想?)。

水守さんの悪いうわさが広まり過ぎてるところや学校生活の厳しさはに少し辛い部分があるけど、だからこそ三章の諸々が生きてくるんだよね。

 

三章での涼音の言葉も(182ページ、これは本当に参ったあまりにも良すぎる。自分はつくづくこういうのに弱いなあと思います)水守さんの対応もその後の主人公が取った行動も全部ひっくるめて大好き。

会いたいって感情だけで行動する主人公最高過ぎるでしょ!!

マジで「うおおおおお~~~!!」って叫んだし興奮してベッドの上でゴロゴロ転がりまくった。

やっぱりラブコメの主人公は最後の最後にヒロインのことだけを考えて思わず体が動いちゃって、体面とか場の空気とかそういうもの全部ブッ飛ばしてほしいよ。

 

1巻では水守さん周りで開示されてない情報も多いし最後にちょっとしたヒキを残してるんですが、どうやら2巻も出るらしいので安心してください。

全人類にオススメです。

 

 

ざっとこんな感じでしょうか。もはや長すぎて誰もここまで読んでない気がする。

まあ自己満足だしそれでもいいや。

 

ここで感想を書いた作品はどれも面白いと思ったのでオススメですが、別にここで感想書かなかった作品が面白くなかったというわけではなく、先にも言った通り文章がすんなり出てきたかどうかだけの問題です。

俺ガイルの13巻、14巻とかめちゃくちゃ面白かったので1日ぶっ続けで読んだけど、感想書くの大変なのでここでは書かないし。

そもそも感想書いてみてわかったけど、どうしても読んだ巻以外の話にも言及したくなっちゃって文字数がかさむ。しんどい。

 

次の応募予定は一応9月末のガガガ……と考えているのですが、今のところなーんもアイデアが思い浮かんでないのでわかりません。

まあどうにかなるやろ、なってくださいお願いします。

 

それではまた。

 

最近(4/10の電撃締め切り後)読んだラノベの感想とかなんやかんや①

ブログに書くことなさ過ぎるし小説も書いてないのでこれでお茶を濁すことにしました

GA文庫大賞に応募してからだらーっとしてるうちに6月が終わってしまいました。

 

小説書こうにも新しいアイデアが降ってこないし、仕方ないので最近読んだラノベの感想でも書いて罪悪感を紛らわせることにしました。

あんまり小説の感想とか書き残す趣味はないんですけど、面倒に感じない程度にざざっと。

 

電撃に応募してから(4月10日以降)読んだラノベが机の上に積まれてたので、数えてみたら24冊でした。

 

1か月あたりおおよそ8冊。

GA応募作の執筆中は読むペースが下がってたとはいえ、6月はもうちょっと読めてもよかったかな。

まあ、自分は読むのが早い方ではないし、読みたくないときに無理に読んでもしゃーないと思ってるので、これくらいが仕事しながらの限界かもしれないです。

 

写真に映ってる全部の作品に感想書くと大変なので、今パッと書けるやつだけ書きます。

別にここで感想書かなかった作品は面白くなかったというわけではなく(自分は大抵の作品を楽しんで読めるタイプです)、単に文章がすんなり出てきたかどうかってだけの違いです。

 紹介順は単なる読んだ順です。

 

「何故か学校一の美少女が休み時間の度に、ぼっちの俺に話しかけてくるんだが? 5」

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地の文が無いラノベってこれしか読んだことない(書簡体小説ならチラホラ読んだことあるけど)な、まあそれほどラノベたくさん読んでるわけじゃないんですけど。

これ自体が面白い試みだしストーリーの方も楽しみながら読んでたし、これが5巻で終わるっぽいのは残念だなーと正直思います。

5巻のヒキも良かったし。いいんちょ……。

 

ぼっちオタクと隠れオタク美少女の組み合わせはまあベタだよねと思うんですけど好きだからしょうがない、いいじゃんこういうの好きなんだよ!

特に桃井さんが好き好き(2巻の表紙イラストの子)、こういうタイプの子に滅法弱いんだよな自分。

 

 

「14歳とイラストレーター 8」

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妹さえいればいい。」もそうだけど、こういうクリエイター業界モノの群像劇は同じ業種でもタイプや経験、才能の差がハッキリ感じられる点が残酷だけど好きだなーってなります。

(まあラノベだから「諦めて実家戻るわ……」みたいな主要キャラが出てこないのはご愛敬。何巻も読み続けて愛着を抱いた主要キャラがそんな退場したら読む側も辛いし。単刊で完結するならまだしも)

神絵が見た目も性格もかなり好きなので、8巻は表紙やカラー口絵でたくさんイラストが見られてよかった。

 

でも一番好きなのは白砂ちゃんなんですけどね。4巻でいきなり出てきて一気に歴代の好きなラノベキャラ上位に躍り出た。

こういう色々なものの板挟みになって悩んで苦しんでそれでも最後の最後に自分の芯を貫ける子(詳しくは4巻を読んでください)、最ッ高……!!!

島生まれで家庭的なところも最高です。幸せになってくれ。

 

8巻の感想を書こうと思っていたのに白砂ちゃんの話になってました。

この巻の白砂ちゃんはマリィの保護者役に磨きがかかってる&突如涙腺を刺してくるシーン(109~110Pのくだり、こういうのに弱い)もあってやはり可愛い。おいやっぱり白砂ちゃんの話じゃん。

最後のヒキ、不穏~な感じにユウトが全く気が付いてないの良き。

 

 

「物理的に孤立している俺の高校生活」

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期間中に4巻~8巻まで読んでたのでまとめて。上の埋め込みは8巻です。ヒロイン同士が背中合わせになってるイラストいいよね……。

登場人物たちはそれぞれ厄介な異能力を抱えていて(他人の体力を吸い取って衰弱させてしまうため他者と物理的に近づけない、目が3秒以上合うと心の中で考えていることが開示されてしまう等)、それ故に上手く友達ができない的な話。

最初は飛び道具的な設定に上手くなじめるか不安だったけど、読み始めたら全然大丈夫でした。

 

流石に8巻まで読んでると、元々は上手く人とやれなかった登場人物たちの成長にグッと来る(親目線)。

特に汐ノ宮さんとかさあ、成長し過ぎで嬉しいやら寂しいやらですよ。

5巻あたりから人間関係が結論に向かい始めてストーリー的にもハラハラ度が増してくるの良き。普通はいろんなシリーズを交互に読むんだけど、5巻から8巻まで連続で読んじゃった。

 

6巻の生徒会選挙の解決も好みだし(エリアス好きなので8巻はこうなるしか無い展開だが少々辛かった)、7巻から8巻のえんじゅと愛河の諸々もめちゃくちゃ好き。

ブコメの終盤(大抵はコメディ成分が薄めになりがち)に特有なこういう空気、本ッ当~~に好きだな。いつかこういうの書きたい。

単刊だとコメディ的な緩い雰囲気から人間関係のアクセルを踏み込む感じが表現しにくくて、なかなか難しいんですよね。

ひぐらしのなく頃に」が名作なのも、あの緩い日常パートがあってこそなんすよ……。

 

次に刊行される9巻が最終巻らしいので、読み終えてからずっと正座待機してます。

 

 

「中古でも恋がしたい!」

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上の写真撮った時点で1巻~3巻まで読んでた。

1巻冒頭からいきなり主人公の処女厨バリバリなシーンから入るんですが、読んでるうちに理由とかわかって良かった。

ReDrop先生の描く綾女かわいい。見たところほぼ一貫して表紙が綾女フォーカス(綾女+誰かはあるけど。12巻だけ綾女が小さい?)なの、最近のラノベにしては珍しい気がします。

 

最初のうちはもっと緩い感じで進むのかと思ってたけど、後半はシリアス分多めでしたね。だんだんと主人公のカッコよさが出てくるの好みです。巻を追うごとに面倒見の良さが出てきてる……。

ブコメはヒロインの魅力も重要なんですが、主人公がカッコよさを見せるシーンも大事だと思う派。

 

ただ残念なことに自分は美少女ゲーに造詣がないので、そういうネタを拾えたらもっと面白いのかもしれんなーとは思う。

7月入ってから4巻も読んだんですけど、2巻以降は毎回のように起床シーンから始まるんですよね。これも美少女ゲーにありがちな流れをなぞってるとかそういうアレなのだろうか。

 

 

長くなり過ぎたので一旦ここで切ります。続きはで。