腐れワナビの公募メモと戯言

相崎壁際名義で新人賞に投稿しているワナビのブログ。応募するのは基本的にライトノベル系。

古い時代の書物を読むのは古人とのコミュニケーション②

aizakikabegiwa.hatenablog.com

の続き。

 

 古人がその文章を書いた事実が重要

昔の人がわざわざ文章にして残すようなことって、その時代のスタンダードじゃないことが多いんだよね。

当たり前のことはいちいち書かない。

今の人だって日記を書くときに

「今日は洋式トイレに入り、便座を一つ降ろしてそこにまたがるようにして座って用を足した。洋式トイレというのは便座の中に水が溜まっていて、そこに大便を落とす仕様になっている。めっちゃ気張って大便をしたので大変だった。その後トイレットペーパーという紙で汚れを拭き、拭き終わったトイレットペーパーは便座の中にたまった水に落とし、便座に接続されているタンクについたレバーを引き、タンク内にたまった水を流し込んで大便とトイレットペーパーを流した」 

とかいちいち書かない。

そもそもトイレしたことを書くかどうかすら怪しいが、相当筆まめな人が居てトイレしたことまで書くとしても、「トイレをした」くらいしか書かないだろう。

なんでこんな汚いたとえにしてしまったのか後悔したけど、書き直すのが面倒なのでこのままいく。

真剣に読んだ人には申し訳ないが、こんな場末のブログを真剣に読む方が悪い。

 

まあ、昔の人が書き残したことはイレギュラーな事象か、どこかで役立つので記録するべきだと思われた作法や手順のいずれかがほとんどだ。

一般的な武士の詳細な日記と言われることの多い鸚鵡籠中記だって、書いてる内容は結構バラエティに富んでる(らしい。不勉強な俺は当然読んでない。近所の図書館の蔵書をオンライン検索したらあったらので、今度借りてみようか)。

つまり、現代と文脈の通じない文章(時代的な文脈断絶のほか、地理的断絶もありえる)を読むと、その時代地域ではその文章に書かれたことが「何かしらの理由で書くに値すると考えられていた」ことが少なくともわかる。

 

文章には必ずそれが書かれた理由がある

この「何かしらの理由」というのが曲者で、それは旅人がある地域に来て、自分の地元では見ない行事をその地域で見かけたのかもしれない。

もしくは毎年恒例の行事で、ある季節の到来を告げる大きなイベントだったのかもしれない。

その行事は現代でこそ目新しくないものの、当時は滅多に発生しなかったのかもしれない。

その行事を行ったということは、政治的に大きな転換があったのかもしれない。

その行事は当時の一大流行だったのかもしれない。

その行事は当時から何の変哲もない一般的なものだったけど、たまたま作者の琴線に触れたのかもしれない。

 

「作者にとって書き残す価値があったらしい」ということだけがわかり、それ以外は何の確証も無いところからスタートする。

 

こんな様々な理由が考えられる中で、読み手はテキストから得られるニュアンスから見当をつけたり、当時の時代背景を勉強してテキストの空白を埋めあわせたり、作者の他の文献に当たって同様の記述が無いか調べたり、その調査を同時代の他作者の文献にまで広げたりして、「これだけ傍証があればこの説を提唱していいのではないか」というところまで突き詰めていく。

できれば確証が欲しいけど、それは結構難しいところだ。

自分みたいなアホな学部生からすれば、当たりくさい傍証が複数見つかれば万々歳ってところだった。

そもそも他の研究者がある程度探りを入れて確証に至っていないのなら、それを上回るレベルで調査するか優秀な頭脳を持っているか新しい資料を手に入れるかしないと無理なわけで。

いや……そんなの言い訳にならないのはわかってるんです本当は。学部生のころの俺は本当にテキトーなやつだったなあ……。先生すみません。生まれ変わってまた学生になったらもうちょっとマジメに生きよう。

 

だいぶ脱線したけど、この一連の流れの中で現代の読者は対象となる文章を書いたとうの昔に亡くなっている作者と、ひいてはその文章が書かれた時代についての理解を深くする。

昔の人が書いた文章をすんなり読むってなかなかできないことなんだよ。

生まれも育ちも大差ない文脈の通じる現代人が書いたもの、同時代人の共感を喚起しようとして書かれた文章を読むのとは違う。

読む側もある程度能動的にならないと、正しく(とは言っても完璧に正しくってのは不可能なので、「なるべく作者の意図と被る範囲を広く」くらいが適切かも)読み取れない。

大変だけど、これが古人とのコミュニケーションってことなんだろうな、と。

 

長いのでまた切ります。

本当にキリよく終わるのかこの話? 俺自身も内容がどこ行くのかよくわからんぞ。

続きはこれ。

aizakikabegiwa.hatenablog.com